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2010年12月アーカイブ

話題の映画「ノルウェイの森」。
公開初日に観に行ってきました。 素晴らしく美しい映像でしたね。 

公開2日後の夜は、青山のスパイラルで行われた、トラン監督の講演を聴きに出かけました。
講演は、映画「ノルウェイの森」に限った話は少なく、監督の用いる映画の手法についての話が主です。
でも、監督のフランス語を聴いているだけで、無意識のうちに、
ノルウェイの森の登場人物たちの言葉の発話法が思い出されました。

ミドリの演出法については各論あるようですが、
監督の演出したミドリは、監督ご自身の持つ雰囲気に似ているかも知れません。
監督は日本語を話されないので、
登場人物の発話法については、ご自身が慣れているフランス語の感覚で演出されているのかもしれませんね。
この映画がグローバルに公開されれば、登場人物が日本語で話すときの語感は、 
ちょっとミステリアスな、音楽のように聞こえるのでしょうか。
海外で、この映画をもう一度観てみたいものです。

トラン監督は、演技経験のない水原さんに、常にアルカイックな微笑みを湛えさせていた。
諸論あるでしょうけれど、あれはひとつの監督の価値観を反映した演出と、私は思いました。
スパイラルのホールに現れた監督もまた、
常に微笑みを湛えていましたから。



それにしても菊池凛子さんは素晴らしかった。
「バベル」のイメージが強いですが、なんのその。さすが若きホープ女優。
いろいろな意味で、はてさて、見習いたいものです。

じつは、直子については、何の心配もしていませんでした。
ある程度誰が演じても、独自の直子が演じられるのではないかと、
私は勝手に思っていました。
というのも、若い女性の、とがるほどのナイーブさというのは、
ある意味、演技しやすいものだと、実感として経験として、感じるからです。
(恥ずかしながら、高校時代は演劇部でした。)

普通だけど弱いところがある、あるいは普通だけど強いところもある、
そうした、何でもない人物の方が演じるのが難しいもの。それは文学でも同じ。
どの芸術でもきっと同じ。
芸術、人が生きるということ、人が祈るということ。
それを、伝えることの、いかに難しいこと。
技量が大いに問われ、観る側がいかに感動するかは、
その、一見普通であることの描き方によると、思いませんか?



それにしてもあの美しい映像。
いままで私が個展をさせていただいた純画廊さんも入っている銀座奥野ビルが何度も写り、
非常に印象的に美しく使われていて、個人的にも、とっても嬉しかったな。
直子とワタナベが歩き、触れ合った広い森のロケ地である姫路の砥峰高原へ、
来年、行ってみるつもりです。
ぐんぐん、どこまでも、あの森を歩いてみよう。

みなさんにとっては、映画「ノルウェイの森」、いかがでしたか?

今年の漢字は「暑」に決まったそうですね。
確かに猛烈に暑い夏でした。

いま、国分寺 switch pointではホットな展覧会が催されています。
以前、東京で仕事をご一緒していたアーティスト、末永史尚さんらの展覧会です。

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lighthouse Vol.5 成相肇企画「冨永大尚+末井史裕+冨田大彰+森井浩裕+末田史彰+森永浩尚」 
2010年12月9日(木)-12月19日(日) 
11:30 - 18:30(最終日11:30 -17:00) 
水曜休

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今月19日までですのでどうぞお早めに。

末永さんのHPに書かれていた言葉が、彼の作品をとてもよく表していると思ったので、
ご本人の了承を得て以下に引用します。
簡潔な文章だけど、
いつも真摯に作品と向かい合っている彼の人柄が、自然に現れているようです。


自分が育った場所や
いまの生活をうつしだす絵をかこうとおもったとき

そもそもぼくは
印刷物やテレビ
間接的に知識を与えてくれるものに囲まれて育ち
絵画すら実物より図版をとおしてみてきている
そのことをてがかりに

雑誌やまんが、
写真や既存の作品を素材として
印刷物の網点を拡大してシルクスクリーンで刷ったり
まんがのふきだしを切り抜いて色をぬったり
素材に手を加えてながめてみる
そのうち
つぎのすがたがぼんやりみえてくる
そのぼんやりをちょっとずつぬぐうように
色をのせたり
別の層をかさねてみる

絵を描くことはさんぽのように
予想外の出来事やまちがいを
たのしんでいたいので
ただ塗ったり刷ったりではなく
点を筆で描いたり貼り付けたりと
手作業を繰返す
そうやってただ自分の視覚が反応できるものをさがしている



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