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「星に会う」

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賀状を書く季節になると、必ず思い出す詩があります。
柏木義雄さんの「星に会う」。
十年くらい昔に新聞で見、どこかに書き写したものの、
転居を重ねるうちに失くしてしまっていました。
それを、
このあたらしい年の最初の朝に、やっと見つけました。
新年の言祝ぎとして、ここに記します。

「今年」なんて年はなし、すべてが「今日」の繋がり。
あたりまえのような一日が、尊く繋がってゆく。
どうぞよい日々を。
皆さまにとってよい年となりますよう。

_____________________

星に会う
                         柏木義雄
祥門瑞雲
賀詞のかたわらに
〈そのうちに会いたし〉
と書きそえて
そのうちがいつか
十年経った
門は傾き
雲が近付いては遠く去った

なにもかもが急ぎあしで
見送るのが日課となった
舞い上がる鳩の群
人々の背や 歳月の列車
地球をぬらす涙も歌も
 だが

お腹をすかした手が
乾いた土から生えて
枯れ草のようにそよいでいる
その握りしめていた
小さな花は忘れない

みんな同じ船で時代を漂うボートピープル
きっと今年は
美しい星に会える
光のしずくが
果実の房となってゆれる
そんな森があるような

魂の帆をつくろいながら
ゆめの行方をたしかめたい
〈会いたし〉と
あの時以来
誰に賀状を
送り続けたのだろう
宇宙へのひとひらの
花びらのように

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このページは、seikoが2011年1月 1日 14:20に書いたブログ記事です。

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