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2011年6月11日アーカイブ

1950年。世界中が第二次世界大戦からの復興を果たそうとしていたとき
4回目のサッカーワールドカップが、ブラジルで開催された。

ブラジルは強く、観客の支持は絶大だった。

グループリーグ最終決戦は、開催国ブラジルとウルグアイの戦いだった。
スタジアムには20万人の観客。ブラジルの勝利を見届けるための熱狂に包まれていた。
完全にアウェーで戦うことになったウルグアイ選手。
彼らがフィールド入口で立ったとき、ウルグアイのキャプテンは選手らに向かってこう言ったという。

観客を見るな 土を見ろ

ウルグアイは2-1で勝負を制した。
後半34分にウルグアイのFWギジャが逆転のシュートを決めたとき、
20万人の観客は水を打ったように静まりかえったという。


震災から今日で3ヶ月が過ぎて、身の回りであきらかな変化が起きつつある。
それらの変化はすべて人ごとでなく、私たちは厳しい選択を迫られている。

そんなとき、この言葉が私たちを厳しく問い、
また、励ましてはくれないだろうか。

私たちは土を見てきたか。
自身の足取りを振り返って見ろ。誇りを持って後世に伝えられるか。
観客ばかりを見てこなかったか。
高いところから騒ぎ立てる者たちに心乱されていないか。
少しも傷のつかないところからの圧力に耳を貸し、身一つで戦う勇気をくじかれていないか。

土を見ろ。私たちはずっとこの土の上を歩いてきた。
この土はどこへ続いているのか。考えろ。
私たちがこの先も、この土の上を歩いて行きたいならば。




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