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2012年11月27日アーカイブ

涯しない世界の海辺に 子供たちが集まる。
頭上には 無窮の空が じっと身じろぎせず、
動きやまぬ浪が 騒々しい。
涯しない世界の海辺に 子供たちが集まって、
叫び 踊っている。

子供たちは砂で家を作り、貝殻で遊ぶ。
枯葉で小舟をあみ、愉しげに 広い海に浮かべる。
子供たちは 世界の海辺で 戯れ遊ぶ。

子供たちは 泳ぎを知らないし、網打つ術も知らない。
真珠採りは 真珠を求めて海にもぐり、
商人は 船に乗って航海する。
そのあいだも、子供たちは 
小石を集めては、また撒きちらす。
子供たちは 隠された宝を探そうとはせず、
網打つ術も知らない。

海は 高らかに笑って 波立ち、
渚の微笑は かすかに碧白くきらめく。
死を売り歩く浪たちも 子供たちには
意味のない唄をうたって聞かせる
ー揺籠を揺り動かすときの母のように。
海は 子供たちと遊び、
渚の微笑みは かすかに碧白くきらめく。

涯しない世界の海辺に 子供たちが集まる。
嵐が 道なき空を徘徊し、
舟は 航路のない海で難破し、死が蔓延する、
それでも、子供たちは戯れ遊ぶ。
涯しない世界の海辺に 子供たちが群がり集まる。

R・タゴール 森本達雄訳


1913年にノーベル文学賞を受賞したベンガルの詩聖、
ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)の詩です。

海って不思議ですね。
震災の後は、特にそう思います。






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