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展覧会のことの最近のブログ記事

2016年の個展「日々と永遠」が終了いたしました。
忙しい時間を割いて足を運んでくださった方、
遠方からエールを送ってくださった方、
皆さんありがとうございました。

今回の個展では、お越しいただいた方とお話ししながら、
何度も鳥肌が立つ体験をしました。
なんだか、とても深いところで繋がったような気がしたり、
同じ気持ちを分かち合えたような気がしました。
聞くと、お客さまの方も、同じように、鳥肌が立ったとおっしゃるのでした。
貴重な時間を共有できたことを、感謝したいと思います。

展示作品のうち、好評だった作品の一つをここに紹介します。

「野のブーケ」 SM 紙本着彩

野にある身近な植物たちを,ブーケのように束ねてみたら、どんな元気な歌が聴こえてくるだろうか。
植物たちは植物としての自分自身を楽しげに生ききって、前へ、上へ、光の方へと伸びてゆく。
高見順の詩「われは草なり」が好きで、詩から得るイメージを大切にしました。


野のブーケweb用.jpg


われは草なり 伸びんとす
伸びられるとき 伸びんとす
伸びられぬ日は 伸びぬなり
伸びられる日は 伸びるなり

われは草なり 緑なり
全身すべて 緑なり
毎年かはらず 緑なり
緑のおのれに あきぬなり
われは草なり 緑なり
緑の深きを 願ふなり

ああ 生きる日の 美しき
ああ 生きる日の 楽しさよ
われは草なり 生きんとす
草のいのちを 生きんとす




作品:baby!

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個展に出している作品の紹介です。

「baby!」  22.7× 15.8cm 紙本着彩

赤ちゃんの素晴らしさと言ったら、言葉にならない。
すべてが驚嘆。すべてが微笑みを誘う。いまも、眠りながら少し笑ったようだ。


baby!web用.jpg


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長谷川誠子展 日々と永遠

2016.11.18(金)ー29(火)
11:00-18:00(最終日15:00)
水・木 休廊

ギャラリーさざれ石(大磯駅徒歩4分)
〒255-0003
神奈川県中郡大磯町大磯1174
0463-67-9662


◆作家在廊予定日◆
18日(金)(11:00-15:00)
20日(日)(11:00-15:00)
26日(土)(11:00-15:00)
27日(日)(11:00-15:00)
28日(月)(11:00-14:00)
29日(火)(11:30-15:00)

◆新聞掲載記事◆
タウンニュースに掲載されました。
記事はこちら、またはFB
(https://www.facebook.com/hasegawaseiko.Lararium)でも読むことができます。

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11月18日からの個展に出す作品の紹介です。

「幽明 高麗山(こまやま)」  6号M 紙本着彩

幽明・高麗山web用.jpg


大磯丘陵の東端、高麗山を花水川越しに見上げると、たおやかな山容に優しい色の木々が色を添えている。
麓に高麗神社があるが、本社は中腹にあり、山そのものが祈りの形に見える。

大磯丘陵は相模湾の深くにある沖ノ山堆列の一部が陸上に顔を出したものだそう。
30万年前に隆起を始めた大地は、私たちの目には不動のものに見えるが、じつはゆるやかに生きていて、
計り知れない深い呼吸の中にある。



新聞記事に掲載

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「タウンニュース」大磯・二宮・中井版11月4日号に長谷川誠子の記事が掲載されています。

人物風土記web用.jpg



記事はこちらでも読むことができます。

(タウンニュースは、毎週金曜日に、読売、毎日、朝日の朝刊に挟み込まれているそうです。)


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長谷川誠子展 日々と永遠

2016.11.18(金)ー29(火)
11:00-18:00(最終日15:00)
水・木 休廊

ギャラリーさざれ石(大磯駅徒歩4分)
〒255-0003
神奈川県中郡大磯町大磯1174
0463-67-9662


◆作家在廊予定日

18日(金)(11:00-15:00

20日(日)(11:00-15:00

26日(土)(11:00-15:00

27日(日)(11:00-15:00

29日(火)(11:00-15:00


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DM web用.jpg





作品:想いで

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11月の個展に出す作品を、少しづつ紹介していこうと思います。



想いでweb用.jpg




「想いで」 0号F 紙本着彩

大磯の海はあんがい荒く、浜は黒くて石が多い。
漁の海、生命を感じる力強い海だと思う。
ある昼、海辺を歩いていたら、ヒトデが波に打上げられて漁協近くのコンクリートにいるのを見た。
生々しく肉厚のヒトデは多少のグロテスクを伴いつつ、
あたたかい呼吸をさえしているように見えた。
ヒトデをもういちど海に帰して、数年後に描いてみようと思ったのは、乾燥して真白になったヒトデと明るい海。

年月とともにさまざまな思い出もこころの中で漂白されて、より明るく乾いていくのだ。


2016年の秋は、4年ぶりの個展を、大磯のギャラリーにて開催します。

愛知県に生まれ育ち、大学から京都、そして夫とともに東京から神奈川と移り住んできたなか、
愛知でも、京都でも、東京でも、展覧会をしてきたはずなのに、
はじめて、いま、「じぶんが住んでいる場所」で展覧会をする、という気持ちになっています。
不思議。なんで?と、ちょっと考えてみました。


それは、ひょっとしたら、この大磯という土地が、
「じぶんで、ここに暮らすと決めた」、はじめての場所だったから。かもしれません。
(生まれた場所でもなく、大学があった場所でもなく、夫の仕事の都合上でもない。)


風の鎮魂web用.jpg
(「風の鎮魂」 長谷川誠子 3号F 紙本着彩 2012 個人蔵)



誰の人生にとってもそうであるように、わたしの行先にも常々びゅうびゅうと風が吹き付けていて、
それは急峻な山の稜線上を歩くがごとく。足元に注意しなければ転げ落ちそう、
湧き上がる霧に視界は遮られて道は果て見えず。
でもこれは私が選んだ道。


ああ、海が見たい。東京近辺で、海の近くに住もう。
東京に住んで3年後だったか、そんなふうに夫婦で決める年の、その少し前に、
私は単に旅行者として大磯に来たことがあった。
(村上春樹のエッセイに出てくる大磯の描写が好きで、いつか自分の足で歩いてみたいとずっと思っていたのでした。)


まさかその時は、じぶんがこの土地に住むことになるとは知らない。
はじめてのちいさな町を、徒歩で、自転車で。観光地図を片手に、右へ左へ。

路地あり、路地の先に地域の祭があり、海あり。
黒い浜に荒い波。たくさんのサーファーが波と遊ぶ。
岩礁に飛び交うレモン色の鳥。
碧い海の背中に優しく連なる山々あり。
山のふちまで人の生活があり・・・でもその先は深い森の緑。
夜になれば海も山も、まったくの闇になる。
吸い込む空気は、くっきりと、澄んだ森の味。


観光案内所で、「ちょうど、城山公園でもみじのライトアップやっているから」と勧められたものの、
もみじのライトアップなぞ、そんなどこにでもあるような。と思っていたはずが。

池に映るもみじの赤は、実際のもみじより赤々と血のようで、動かない水面はまさに鏡。
夜を移す水の黒は宇宙の色、枝の張りは宙に伸びる無数の手。
本当よりもほんとうの世界が、そこに鏡写しに現れて、思わず吸い込まれてしまいそう、
しかし吸い込まれないように、池のふちで、世界の端で、この二本の足で、しっかりと立っていなければ。
ここに、立っていなければ、やばい。


手のひらの中におさまりそうにちいさい町なのに、思いがけないほど深い自然。
(海には飲み込まれないように、夜の森には、吸い込まれないように。)

その永遠のような「深み」と、人の感情や暮らしが、交わってある場所。


ここに暮らそうと決めて、移り住んでもう7年くらい経ちました。
その間に二人の子どもたちを授かって、大磯は、その子らの生まれ故郷になったのかと思うと、
なんだか、人生ってほんと、思いがけない。



個展は11月18日から、29日まで。
おそらく、城山公園のもみじのライトアップも、期間中に行われるのではと思います。










 




精悍な獣

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松濤美術館で開催中のクートラス展に行こうと、Bunkamura前の坂をゆるく登っていた午後3時、
なんと、田中陽希さんとすれ違いました。
「グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き」で有名な、
プロアドベンチャーレーサーの陽希さんです。

びっくりして声を上げそうになっちゃいました。
山じゃなくて、こんな都会のただ中で遭遇するなんて。
彼はあっという間に渋谷の人混みに消えていってしまいましたが、
その顔はまっすぐ前を、瞳は遠くを見て
肩は大きく、手足は長く、黒々と日焼けした肌は無駄なく引き締まり、
迷いなく歩き去るその姿は、チーターとかヒョウとか、精悍な獣みたいに見えました。

ここのところ毎朝
グレートトラバースが再放送しているので、
いつもそれを観ては今日もがんばろうなんて思っていたところ
まさかの遭遇、きっとこれはわたしの春一番。

さあ、あたらしい季節の到来だ。風立ちぬ。いざ。



ばたばたとしており、ホームページの更新が遅れております。
過ぎてしまった展覧会もいくつか。ごめんなさい。
またまとめて更新します。
なお、作品は旧姓の塚本誠子から長谷川誠子で発表しております。

涯しない世界の海辺に 子供たちが集まる。
頭上には 無窮の空が じっと身じろぎせず、
動きやまぬ浪が 騒々しい。
涯しない世界の海辺に 子供たちが集まって、
叫び 踊っている。

子供たちは砂で家を作り、貝殻で遊ぶ。
枯葉で小舟をあみ、愉しげに 広い海に浮かべる。
子供たちは 世界の海辺で 戯れ遊ぶ。

子供たちは 泳ぎを知らないし、網打つ術も知らない。
真珠採りは 真珠を求めて海にもぐり、
商人は 船に乗って航海する。
そのあいだも、子供たちは 
小石を集めては、また撒きちらす。
子供たちは 隠された宝を探そうとはせず、
網打つ術も知らない。

海は 高らかに笑って 波立ち、
渚の微笑は かすかに碧白くきらめく。
死を売り歩く浪たちも 子供たちには
意味のない唄をうたって聞かせる
ー揺籠を揺り動かすときの母のように。
海は 子供たちと遊び、
渚の微笑みは かすかに碧白くきらめく。

涯しない世界の海辺に 子供たちが集まる。
嵐が 道なき空を徘徊し、
舟は 航路のない海で難破し、死が蔓延する、
それでも、子供たちは戯れ遊ぶ。
涯しない世界の海辺に 子供たちが群がり集まる。

R・タゴール 森本達雄訳


1913年にノーベル文学賞を受賞したベンガルの詩聖、
ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)の詩です。

海って不思議ですね。
震災の後は、特にそう思います。






見あげる空

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10月の個展を間近にして。

展覧会があると、いつもどこかそわそわするというか
何よりもまず制作、という気持ちになります。
そのせいで、私はいつも、
身のままにゆったりと季節を味わうことが出来なくなることもあります。

こんなに微妙に移りゆく季節の味をその身に含みもせずに
目の前の仕事にすぐに、身も心も精一杯になってしまうとは、
とても、愚かだなあと思います。
でもせっかく、表現する場を得たのだから、全力でやろうと思うのも当然です。
挑戦者だからこそ、がむしゃらにならざるを得ない求道の途、
人が安らいでいるときに頑張らなくてはいけないし、
今の自分を超えて、もっとよい作品を作ることに未来の自分の意味がある、
一生懸命であるのは当然、精一杯が当たり前、でもあります。


だけど、今回だけは、
展覧会が近づいても、私はただ、空を見てしまうことがあります。

見あげると、昨日と違う空。昨日と違う空気の香りがする。
懐かしい香りがする。いつの間にか通り過ぎる雲のかげ。
風の温度。遠くで鳴く鳥の声。
空に誘われる思い。空をさすらう気持ち。


空が美しいなあと、ただそれだけのことで、水がひたひたと満ちるように
こころが満たされてゆくなんて、
私にとっては、子供のとき以来ではないかと
そう思うと、嬉しいような。どこか悔しいような。
なんだか泣けてくるような。

ほんとうはずっと、こんなふうに感じて、満ちて、生きて来れたら良かったのに。
子供のときに十全に満ちた思いも、月の満ち欠けのように、
人生の中で影を落としてゆく。
絵を描いていても、描いていなくても。私が誰であっても。

走ることをやめてしまった機関車のように
動かない私の冷たい体にも、空の色が映る。
いま、画面に向かっても、以前の自分とはどこか違う。
時に、心がひりひりしているときは、
影の冷たさの中で光の温みを求めてうずくような。


個展に出す作品の「流転」などには、
そうした今の状態がよく出ているようです。


よく、個展に来てくださる方のことを考えています。
楽しんでもらえたらなあと思う。心から思います。
その方にとって貴重な時間と、多分電車賃とか、貴重なお金と、
いろいろを費やして、わざわざ私の絵を見に来てくださる、
そうした方々に、私はいったい何を出せるだろうと思う
たとえ何も差し出すことができなくても、
からっぽでも、空のように、
どこまでも自然のままに、嘘も飾りもなくありたいと思います。















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